連日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場の候補地選定を巡る文献調査の報告案公表に関する報道がなされており、今後は複数回に及ぶ専門家による議論が報告書として取りまとめられ、北海道寿都町と神恵内村の2町村長や北海道知事が次の概要調査へ進むかどうか判断する流れになるようです。
昨年10月には、この核のゴミの処分地選びをめぐり、地球科学の専門家有志が地殻変動の激しい日本では、核のゴミを10万年にわたって地下に閉じ込められる場所を選ぶのは不可能と指摘し「日本に適地はない」とする声明を公表した報道がありました。先行する北欧と同列に扱い、封じ込めの技術で安全性が保証されるとみなすのは「論外」との批判もあり、会見での「科学的な議論にふたをし、地層処分ありきで進められてきた。科学的な議論にもう一度、立ち返る必要がある」の言葉に、改めて未来への考えや想いを問われている気がいたしました。
2000年に成立した、核のごみの処分手続きを定めた最終処分法は、場所を探せば、地下への地層処分ができる前提でのことと理解しております。
専門家ではない私たちでありますが、それぞれがしっかり考え「現在」を未来へ繋いでいかなければと考えております。
本市では、放射能による被害から市民の生命と生活を守り、南さつま市の有する豊かな自然環境と貴重な生態系を放射能による汚染から予防することによって、現在及び将来の市民の健康と安心して住める生活環境を保障し、自然と調和した地域発展に資することを目的とする「南さつま市放射性物質等持込拒否及び原子力関連施設等の立地拒否に関する条例」が令和2年3月18日に施行されております。
この条例では、原子力関連施設等から発生する使用済燃料や様々なレベルの放射性廃棄物と原子力発電所の事故により汚染(汚染土や瓦礫等を含む。)された放射性物質や原子力の利用と研究に供され、それらに伴って発生する物又は廃棄される全ての放射性物質をいかなる場合も市内持込みを拒否すること、いかなる場合も原子力関連施設等の南薩地域への立地及び建設に反対することが示されております。
今回、NUMOが示した報告書の原案では、寿都町では全域が、神恵内村では火山の影響がない村の南端の一部が、第2段階の「概要調査」に進むことが可能とされましたが、今後の住民の合意形成に関してなど特に注視していきたいと思います。