アフリカ西部にあるニジェール共和国(首都ニアメ)は、世界自転車旅で何度も訪問(第5次、第6次で訪問)、またサハラ縦断時に敗北感を味わった思い出深い国でありますが、7月26日に軍将校らによるクーデターがあったようです。2021年に選挙で民主的に選ばれ、フランスなど西側諸国と密接な関係にあるモハメド・バズム大統領は、大統領警護隊により公邸に留め置かれているようで、ウラン資源の豊富なニジェールに軍事基地を置いているアメリカとフランスはクーデターを非難しており、アフリカ西部に拡大するイスラム過激派と戦うという米国の戦略全体を混乱させるとともに、この地域での影響力を拡大しようとしているロシアに戦略的優位をもたらす可能性があるとも。
ニジェールの隣国のマリとブルキナファソでは近年、ジハード(イスラム教聖戦)主義者の反乱を端緒にクーデターが起きており、どちらの国でも、新たな軍事指導者たちは旧宗主国のフランスと対立し、ロシアに接近しているようであり、今後ニジェールにもロシアとワグネルが入り込む好機になるとの見方も指摘されており、ニジェールの退行だけではなく、西アフリカの治安悪化に繋がり、世界最貧国の1つでもあるこの国の多くの弱い人々が犠牲になることが想定されるだけに、なんとか早くこの事態が未来につながる形で安全に収拾することを遠い地から祈っております。
私が訪問したときはニジェールには日本国大使館が設置されておらず(在コートジボワール日本国大使館がニジェールとトーゴを管轄)JJICA支所等があり、私も自転車旅で何度もお邪魔いたしましたが今はどうなっているのでしょうか?2011年1月に発生したニアメ市内での外国人誘拐殺害事件を受け、滞在中の70名を超える協力隊員は引き揚げざるを得なくなり、援助活動も制限を余儀なくされたようですが、ニジェールとの協力関係とこれまで培われてきた絆を途切れさせないよう工夫しながらの活動は続けられているようですが、今回の事件で残念ながらまた活動が滞るのでしょう。
世界では人間が地球環境を急速に悪化させており、そして愚かにも同じ人間同士も戦争や争いをしております。遠いアフリカの地でクーデターですが、何度も訪問した国であり今後の情勢に注視したいと思います。